
乳がんについて

女性がかかるがんの第1位が乳がん
乳がんは乳腺にできるがんのことです。
年代別でみると、乳がんの罹患率は30歳台後半から増加し始め、40歳台後半から60歳台後半に大きな山があり、乳がんは家庭や社会で最も活躍する働き盛りの年代を襲う疾患であることを示しています。
日本人女性における乳がんの年齢階級別罹患率(2020年)

国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

乳がんの発生と進行
乳がんは、乳房の中にある「乳腺」に発生するがんです。
がん細胞が乳管や小葉の内側にとどまっている状態は「非浸潤がん」と呼ばれ、早期がんの段階です。やがて、がん細胞が増殖して乳管の壁を破り、周囲の組織に広がった状態になると「浸潤がん」と呼ばれます。浸潤がんの段階になると、がん細胞が血管やリンパ管に侵入するようになり、臓器、骨など体のほかの部位に広がっていきます。
乳がんから命を守るために、少しでも早く発見して治療を行うことがとても重要です。
非浸潤がん

浸潤がん


乳がんの早期発見の重要性
乳がんは、早期に発見し適切な治療を行うことで、9割の方が完治する病気です。
女性乳がんの10年相対生存率(治療後の生存率)は、ステージ(病期)Iでは99.1%、ステージIIでは90.4%となっています。この数字は、早期発見と適切な治療が行われた場合の結果です。つまり、乳がんを早期に発見し、治療を開始することが重要です。
乳がんの罹患率は高まる一方で、医療の進歩により、早期に発見して適切に治療すれば、良好な経過が期待できるがんとも考えられています。


乳がんのリスクが高いと考えられている方
乳がんの原因はまだ解明されていませんが、次のような方は、乳がんのリスクが高いと考えられています。
当てはまる人は、40歳以下でも定期的に乳がん検診を受けましょう。
※当てはまる人が必ず乳がんになるわけではありません。当てはまらない人でも乳がんになる可能性があります。
乳がんのリスクが高いと考えられている方
●家族(祖父母、父母、兄弟姉妹)で乳がんや卵巣がんにかかった⼈がいる
●初潮が早く(11歳以下)、閉経が遅い(55歳以上)
●初産が30歳以上、または出産経験、授乳経験がない
●閉経後の肥満
●40歳以上
●乳腺疾患(乳腺症など)にかかったことがある
●乳がんになったことがある
●喫煙する
●アルコールをよく飲む

乳がんの診断の流れ
●乳がんを見つける検査
問診(視触診)、マンモグラフィ検査、超音波検査
乳がんの疑い
●乳がんを確定する検査
細胞診、組織診(針生検)
●乳がんと診断
●乳がんの広がりを調べる検査
MRI検査、CT検査、PET検査など
●治療計画を立てる

乳がんのサブタイプ
乳がんには、比較的おとなしいものから、増殖が活発なものまで、様々なタイプがあり、乳がん細胞がもつ遺伝子の特徴によって、乳がんを分類したものを「サブタイプ」と呼びます。このサブタイプは病理検査(針生検)で、がん細胞の表面にあるタンパク質を調べて判定します。
タイプ毎に、薬の反応性や増殖する力の強さなどが異なりますので、サブタイプに基づいて、ホルモン療法や抗がん剤療法(化学療法)、分子標的療法(抗HER2療法)など から適切な薬物療法を選択していくことになります。

●エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体
エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)は、主に卵巣で作られ、子宮内
膜の増殖、乳腺組織の発育、月経などを起こす働きのある女性ホルモンです。閉経後は、副腎や脂肪
組織でエストロゲンは作られ続けます。がん細胞にエストロゲン受容体が発現している場合はホルモ
ン療法の適応となります。
●HER2(ハーツー)
がん細胞の表面に発現しているタンパクの一種です。このタンパクが発現している場合は、分子標 的薬(トラスツズマブ、ペルツズマブ(パージェタⓇ)、T-DM1(カドサイラⓇ)など)の投与を行 います。
●Ki-67(MIB-1)
増殖期にある乳がん細胞はKi-67に染まるので、多ければがん細胞の増殖能(進行スピード)が高 い(速い)ことを示します。Ki-67が高値であるということは悪性度が高く再発しやすいため、抗が ん剤を使用する一つの指標となります。

乳がんの治療
乳がんの多様な治療法
乳がんの治療法には、手術療法、放射線療法、薬物療法などがあります。乳がんは小さくてもいろいろな臓器に転移しやすい性質であるため、全身の病気と考えることができます。つまり、手術や放射線療法などの局所療法だけでなく、薬物療法などの全身療法を組み合わせた治療を行うのが一般的です。
がんのステージ(進行度合い)や性質(サブタイプ)を見極めたうえで、お一人おひとりに合わせた治療法を計画していきます。
乳がんの状態や治療方針に不安や疑問がある場合や、他の選択肢がないかを確認したい時には、セカンドオピニオンを受診することもできます。
乳がんの初期治療
(乳がんと診断されて最初に受ける治療)

院長自ら執刀することも可能
乳がんの手術が必要な場合、連携施設である「三軒茶屋ブレストセンター」(三軒茶屋駅から徒歩0分)にて院長が執刀いたします。診断を行った医師が執刀いたしますので、安心して手術を受けていただけます。
ご希望の連携病院への紹介も可能です。
